ネット購入をやめられるか
12月の学生企画の映画祭「はたらく×ジェンダー」で上映後トークを2度やったが、そのうちの1本はケン・ローチ監督の『この自由な世界で』(2007)だった。その準備として、この監督と是枝裕和監督がNHKで対談をしてそれを新書にした『家族と社会が壊れるとき』を読んだ。
この本を読むと、本当にケン・ローチ監督がコテコテの左翼だということがよくわかる。例えば「政治家が称揚する「経済成長」とは、たいていの場合、搾取と資源の破壊、気候危機の増大を意味する」「「防衛力」はいつも、市民の安全を守るどころか、戦争を仕掛けるものだ」など。
日本で公開された最新作『家族を想うとき』(2019)では父親は宅配便のドライバーだが、フリーなので注文があればいつでも届けないと稼げない。ケン・ローチは「かつて労働は、1日8時間、週5日制、家族を養うことのできる適切な賃金、終身雇用が保証されていましたが、それはすべてなくなりました。いまは多くの人々が、仕事がなくなること、つまり失業や、保障のなさに脅かされています。1週間に何時間働くのかもわかりません」と言う。
一方で彼は宅配の環境破壊にも触れる。「化石燃料を使うバンによる宅配で、なんでも買うことのできる生活は永遠には続きません」「環境を破壊し、人々を破壊するものです」
要するにアマゾンに代表されるネット販売は、労働者の勤務体制を滅茶苦茶にし、さらに地球環境も破壊する。ボタン一つでポチッと注文する私は、まさにその片棒を担いでいることになる。
前にここにも書いたギリシャの経済学者ヤニス・バルファキスの『テクノ封建制』では、アマゾンなどを「クラウド領主」と説明していた。そこに商品を提供するのは「クラウド封臣」となり、労働者は「クラウド農奴」=非正規労働者として商品を運び、あるいはネットで購入してデータを提供する。
私も相当の数の本やDVDをアマゾンで買う。あるいは衣類もユニクロなどネット購入が多い。しかしそれが非正規労働者を増やし、地球環境を破壊しているとすると、できるだけ実店舗で買おうかという気になってきた。
確かにネット購入は時間の節約になるが、失敗も多い。この年になると時間を節約してどうするとも思う。歩いて買いに行く方が体にもいいに決まっている。今年は脱ネット購入の元年にしようか。
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