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2026年2月21日 (土)

謎の「トウキョウ・イノベーション・ベース」

元朝日記者の石飛徳樹さんと久しぶりに昼間に会った。彼と会うのはいつも宴会ばかりで唯一の例外は東京国際映画祭期間中だったが、昨秋は彼はフリーになって忙しすぎてほとんど参加できなかった。

今回会ったのは、来期から私の教える大学で半期だけ授業をしてもらうための打ち合わせ。まずは昼食を取り(彼だけ生ビールを飲んだ)、それからカフェに行くつもりだったが、私は彼が使っているという「都が運営しているシェアオフィス」に行ってみたかった。

都が運営する無料のオフィスが有楽町にあるならば、定年が近い私も近いうちに使おうかと思っていた。行こうと提案すると「最近どうも居心地が悪くて行っていない」とのこと。理由を聞くと、交流施設だから出口で今日何人と交流したから聞かれると言う。

入口でスマホで登録さえすれば入場できるし、コーヒー一杯は無料とのことなのであえて行ってみて驚いた。前に無印良品があった3階建ての大きなスペース(その前は劇団四季か)で、入口にたくさんのバナーが出ていて賑やかそうだ。TiB=Tokyo Inovation Baseと英語で書かれている。SusHi Tech Globalともあった。

私は「寿司テック」、つまり外人に寿司を教えるのかと思ったが、サス・テックのようだ。入口に入り、石飛さんの教えに従ってTiBのアプリをダウンロードした。もともと私はアプリを増やすのがなぜか好きではないけれど。

それから入場のQRコードを得るには、いくつかの質問に答える必要がある。そこには「できたら英語で書きましょう」と書かれていて、バカじゃないかと思ったが、従う。今の仕事とか、関心事とか。もちろんチェックはナシなので何を書いてもいいが、項目が20くらいあった。

10分近くかけて大半を英語で書いて入場。1階はショップなどで2階に昇る。大きな会場でパワポで何やらプレゼンをしている若い人がいて、20人くらいが聞いている。ほかにもいくつかの部屋があったが、落ち着かないので3階へ。そこにも大きな部屋があって、あちこちにテーブルやソファが並んでいる。

4人掛けの席で1人しかいないので2人分の椅子とテーブルを見つけて座り、コーヒーを取りに行く。1杯だけ無料というが、そのネスカフェの高級版(?)をもらうのに、スマホを見せると私の自己紹介の書き込みが十分でないので書いてくれと言われた。英語で「もうすぐ退職」と書いたら「ダメです」。「映画史を教えています」と英語で書いたらOK。

見渡すと日本語しか聞こえないが、なぜ英語なのかわからない。とにかくコーヒーを持って席に座り、1時間ほど話した。なにか全体に落ち着かない。何もしていないスタッフがやたらにいるので、「これは金がかかっているなあ」と石飛さんに呟いた。自宅に戻ってTiBのHPを見たら、こう書いてあった。

「Tokyo Innovation Baseは、世界中のイノベーションの結節点を目指します。多様な人々がつながりあい、革新的なアイデアやテクノロジーで社会を前進させる挑戦者を生み出す場です。世界最高にスタートアップフレンドリーな東京へ。Tokyo Innovation Baseから、イノベーションの新たなムーブメントを起こしていきます」

これはたまらない。予算は今年度が529億円、来年度は707億円という。今風のしつらえに金がかかっているわけだし、実に多くの若者が(たぶん派遣で)働いている。東京都はこんな茶番にお金をかけるより、介護施設や義務教育をもっと支援したらどうか。平成時代の「国際化」のような英語重視はもはや恥ずかしいし、これでは高齢者は逃げる。自分が払う住民税がこんなことに使われるとは、本当にふざけている。

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