『マーティ・シュプリーム』に引く
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』を劇場で見た。1950年代の実話を元にした卓球の話で、ティモシー・シャラメ演じる卓球の天才の決戦の相手が日本人と聞いて見たくなった。『Shogun』のように時代劇ならともかく、今のハリウッドが1950年代の日本人を描いたらどうなるのかと思った。
実は監督のジョシュ・サフディは、弟と一緒に監督した『神様なんかくそくらえ』で2014年の東京国際映画祭グランプリを取っているが、私はかなり苦手な映画だった。しかし今回の『マーティ・シュプリーム』はアカデミー賞に9部門もノミネートされているしと思って見に行った。
ところが今度も私にはさっぱりピンと来なかった。叔父の靴屋に勤めるわがままな青年(ティモシー・シャラメ)がヒステリックに騒ぎ立てる。卓球では一流らしく、叔父からお金を騙し取ってロンドンの世界選手権に出て決勝で日本人のエンドウに惜敗した。
帰国すると叔父には訴えられるし、人妻の恋人には妊娠が発覚して追い詰められる。さらに高級ホテルでかつてスターだった女優(グウィネス・パルトロー)に一目惚れして、その夫が金持ちとわかると何とか自分のものにする。そして夫のプライベートジェット機で日本に行き、宿敵のエンドウとの決戦に挑む。
ありえない展開をテンコ盛りで進め、それを主人公の情熱というか狂気でとことんまで押し進め、派手な卓球の試合と音楽で遮二無二盛り上げる。あえてそれをサイテー男にやらせることで観客を面白がらせるという手法だが、私は退屈で2時間半が本当に長かった。まあこういう悪趣味で大騒ぎ映画が好きな人がそれなりにいるのは知っているので、あえてこれ以上は書くまい。
最後の日本での決戦は、美術も撮影もなかなかだった。1950年代のダサいが希望一杯の日本らしい感じが実によく出ていたが、後で映画のHPを見て上野恩賜公園で撮影したと知ってなるほどと思った。さらに35㎜フィルムで撮影したと読んで、50年代の映像にふさわしい画面のツヤが出ていたことを思い出した。
それにしても、グウィネス・パルトロウはあの役ではかわいそうだ。ティモシー・シャラメは『名もなき者』のディラン役で見事に歌うのに驚いたが、今回は卓球を相当のレベルでやり、同時におバカな突進男を演じてなかなかである。
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