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2026年4月14日 (火)

『過疎ビジネス』に蝕まれる日本

横山勲の新書『過疎ビジネス』を読んで、日本は大丈夫かと頭がクラクラした。著者は仙台の『河北新報』記者で今年38歳と若い。この本の元となった『河北新報』の一連のニュースは新聞労連ジャーナリズム大賞などを受賞しているが、これに『週刊東洋経済』に書いた記事などを足している。

「過疎ビジネス」とは何かと言えば、映画ファンならば濱口竜介監督『悪は存在しない』の世界だと言えばわかりやすい。つまり東京の怪しいシンクタンクが地方振興のためと称して新企画を立ち上げて市役所や町役場からお金をむしり取るパターンだ。

しかしこの本を読んで、「企業版ふるさと納税」がそのために悪用されていることを初めて知った。「ふるさと納税」は一般の我々が住んでいる自治体以外に税金を払うことで返礼品をもらう仕組みで私もやっている。企業版は企業が地方自治体に寄付をすると、その9割の金額が法人税などの税金を免れるという制度らしい。

この記者はもともと福島県国見町で町長など3人の給料を上げる条例を通したというタレこみから、役場に取材を始めた。するとこの町で企業版ふるさと納税でもらった4億円強の金額で買った高規格救急車12台を他の自治体にリースするというわかりにくい「地方創生事業」に目が留まった。

そしてわかったのは「官民共創コンソーシアム」の一環で、救急車リース事業を「ワンテーブル」という地方創生コンサル一社が引き受けていることだった。調べるとワンテーブルは宮城県の亘理町でも高規格救急車導入事業を受託していた。どちらも救急車の購入先は「ベルリング」という会社で、DMMの子会社だった。

そしてさらに調べると、その購入費はすべてDMMが2つの町に企業版ふるさと納税で寄付したお金から出ていることがわかった。つまりDMMはコンサルを使って自分が収めた寄付金を子会社にバックさせていたことになる。東京の代わりに地方に収めた額の9割が戻ってくるという仕組みだ。

ワンテーブルはコンサルとして救急車リース事業をDMMが寄付した自治体に勧め、さらにはその事業を随意契約で受託してDMM子会社に発注する。本来は役所が作るべき発注仕様書もすべてワンテーブルが仕切り、ベルリング以外は受注できない仕様にしていた。

そして記者のもとにはある取材協力者からワンテーブルの社長の発言の録音データが届く。そこには「無視されるちっちゃな自治体がいいんですよ。誰も気にしない自治体」「(地方議員は)雑魚だから。僕らのほうが勉強しているし、分かっているから。言うこと聞けっていうのが本音じゃないですか」

これは2022年11月から2024年12月までの『河北新報』の記事が元になっている。残念なのは自治体やワンテーブルを責めるのみで、大元のDMMへの追求がないこと。この会社はアダルトビデオの販売・配信では有名だが、仕事を広げて最近はあちこちの大学や自治体と組んでいる。じきに何か出てくる気がする。

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