ギィ・ジルをまた見る:『海辺の恋』
ギィ・ジル監督の『オー・パン・クペ』(1967)の印象が鮮烈だったので、最初の長編『海辺の恋』(1963)を見ることにした。初期ヌーヴェル・ヴァーグの代表的男優、ジャン=ピエール・レオ―とジャン=クロード・ブリアリが出ていると聞いたので。
2本とも、かつて仲の良かった若い男女が別れてしまったことを女の視点で語るという設定や白黒とカラーが混在する構造はほぼ同じ。しかし、こちらの方がずっとわかりやすい。パリで秘書として働く19歳のジュヌヴィエーヴは、昨年の夏に出会った水兵のダニエルが忘れられない。
再会の日、二人は燃え上がる。ダニエルはアルジェリアで水兵として4年間過ごしており、最後の1年はフランス西部のブレストの勤務となって数日後に去ってゆく。ジュヌヴィエーヴは何通も手紙を書くが、ダニエルの返事はだんだん少なくなる。
仕事をしながらもダニエルのことを考えるジュヌヴィエーヴは、同僚や同居人の女性にも話す。ダニエルはギィという水兵(監督自身が演じる)と仲良くなり、暇さえあれば軍港であるブレストの街を歩く。ギィはかつてはナントにいて「エルドラド」というバーに通ったことを話す。あれっ、それはジャック・ドゥミの『ローラ』ではないか。ギィは自由になるためにパリで一人で過ごしたことを楽しそうに話す。
後半、パリで一人で歩くジュヌヴィエーヴが路上で出会う変な男に、ジャン=ピエール・レオ―とジャン=クロード・ブリアリがいる。2人とも自分勝手に話をして、去ってゆく。そういえばルイ・マルの『鬼火』のポスターもあった。まさにヌーヴェル・ヴァーグに捧げたような映画だ。
ダニエルはブレストの1年が過ぎてパリに戻るが、ジュヌヴィエーヴに会うのに2日も躊躇していた。そうして彼は別れを告げて南仏に去ってゆく。ジュヌヴィエーヴは思い出を抱えたまま、生きてゆく。
手紙の青インクの文字が字幕で出てきたり、赤と青の傘、カラフルなボートなどカラーのシーンは主に放浪の場面が多い。その色彩感覚はドゥミの『シェルブールの雨傘』に近い。それぞれが孤独に過ごす時の画面は白黒が多いが、きちんとは区別されていない。
『オー・パン・クペ』の方が女性を中心にしてある種謎のような物語にしてあり、純度が高い。それにしてもこの映画は1963年に作られて2年後に公開されているが、なぜ話題にならなかったのだろうか。ジャン=ピエール・メルヴィルが製作を助けたと書かれているが、ヌーヴェル・ヴァーグの監督たちも手伝ったのだろうか。
私はヌーヴェル・ヴァーグの本を書いたが、まだまだ知らないことが多い。
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