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2026年5月14日 (木)

イタリア映画祭も数本:続き

先日書いた2本以外に見たのはベテランの3本で、リッカルド・ミラーニ『人生はそういうもの』、フェルザン・オズペテク『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』、ジャンフランコ・ロージ『ポンペイ、雲の下に生きる』。

この順番に、一般受けしやすい作品からアート系の純度が高まってゆく。『人生はそういうもの』は、ミラノの一等地にオフィスを持つ大きなリゾート会社が、サルデーニャ島の羊飼い一人に反対される話。ディエゴ・アバタントゥーノ演じる社長はシチリア出身の社員マリアーノを現地に送り込む。

羊飼いのエフィジオは浜辺で牛の放牧をして暮らす。周囲は全員土地を売ったがエフィジオだけは拒み、娘も応援する。最初は1千万円ほどの金額を提案したのが10年後には数億になるが、エフィジオは応じない。それどころか道を塞がれたと会社を訴えて勝ってしまう。全体にパロディ調で社長も社員も島民もカリカチュアのように見せるが、肝心なところは情感たっぷりで最後はなかなか。これは公開可能ではないか。

『ダイアモンド』は、1970年代の映画や演劇の衣装を作る工房を舞台に、そこを経営する姉妹と働く20人ほどの女性たちの人間模様を描く。姉のアルベルタ(ルイーザ・ラニエリ)はかつての失恋を振り切るように仕事一筋で、妹のガブリエッラ(ジャズミン・トリンカ)は亡くなった娘の喪失を酒でまぎらわす。そしてそこで女たちはそれぞれが懸命に生きている。

18人の女たちのそれぞれのドラマにきちんと光を当てて飽きさせない演出は、さすがオズペテク監督。私はとりわけアルベルタにかつての恋人が突然訪ねてきた話に深く心を動かされた。男たちは、ステファノ・アッコルシ演じる劇中の映画監督も含めて、どうも存在感がない。

冒頭にこの映画の打ち合わせの現代のシーンが出てきて、監督の姿も見える。後半にも何度か出てくるメタ映画構造だ。ちょっと監督が出過ぎの気もしたが、女優たちへの愛情がたっぷり感じさせる円熟の秀作。これは6月19日公開。

『ポンペイ、雲の下に生きる』は、白黒の何とも渋いドキュメンタリー。火山に囲まれた都市ナポリで、現代を生きながらさまざまな形でナポリの過去と関わる人々が出てくる。国立考古学博物館で未整理の遺物を調査する研究者たち。遺跡に入る強盗を追跡する警察官たち。

東京大学の発掘チームは、新しい遺跡を少しずつ掘り出してゆく。消防署には地震や噴火の電話がひっきりなしに流れる。ナポリに到着したタンカーにはシリア人の船員たちがウクライナの小麦を船下ろしする。子供たちは塾で火山について学び。

それらの人々の映像が目まぐるしく行き来するが、なぜか退屈しない。むしろ人々が崇高な存在に見えてくる不思議。さすが天才ロージ監督だ。今秋公開。

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