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2026年6月17日 (水)

辻仁成からレーモン・オリヴィエへ

私は食べることが好きだ。居酒屋やレストランで食べるのも好きだし、自分で作るのも楽しい。料理の本もよく買ってきては、自分で作る場合を考えながら読む。「これなら作れる」とか「これは材料が揃わない」とか言いながら。

パリに住む作家の辻仁成『父ちゃんの料理教室』が、カラー写真入り文庫で900円台なので買ってきた。彼の小説はたぶん1冊読んだし、監督した映画も1本見たけど、ちょっと苦手と思っていた。ましてや「父ちゃんの」なので、中山美穂と別れた後に息子と一緒に料理を作っている姿が目に浮かんで少し引いたけれど。

けれど、パリに住みながら日本の男がどんなフランス料理を作るかには興味があった。読んで見たら意外に普通というか、特に高い食材を使っているわけでもなく、日本人が好きそうなフランス料理のドカンとしたメイン料理が並んでいる。

一番最初にある「フランス風イカめし」は、米でなくてもパスタでもいいと書いてある。オリーブ油に潰したニンニクとアンチョビを鍋に入れて、切ったイカを混ぜる。白ワインを混ぜてそこにトマトの缶詰を入れるだけ。あとはパスタか米にかける。それだけだが、これが抜群にうまい。

「どうだ、いい香りだろ? ニンニクとアンチョビのたまらん香りだ」と書かれている通り。「あ、パスタゆでるの忘れてるじゃん。あはは、それは君の仕事だ。パパは窓からあの日の空を見上げているから、ゆで上がったら、教えてくれ」。このあたりが彼らしいが。

そのほかやってみた料理はいくつかあるが、一番おもしろかったのは「サーモンのパイ包み」。私はパイ包みが好きだが、自分で作ったことはなかった。なぜならパイ生地を作るのは面倒そうだから。この本では冷凍パイシートを使うと書いてあり、「キッシュ・ロレーヌ」のところに「ピカール(冷凍食品専門店)で買ったものを使う」「もうこの冷凍のパイシートが便利すぎちゃって」

自宅から歩いて15分ほどのところにピカールの店があった。そこに行ってパイシートを買った。そして長ネギとほうれん草を炒め、小麦粉にバターと牛乳となぜか味噌を入れてベシャメルソースを作った。冷凍から冷蔵に移しておいたパイシートを伸ばして書かれた通りに切れ目を入れてそこに大きなサーモンを置き、ほうれん草などを加えて魚型に包み込む。

「20分前後でサクサクジューシーなサーモンのパイ包みが出来上がるよ。オーブンから取り出す時の、わお~!という顔が最高だね」。確かにこれは簡単で満足度が高い。

もう一冊レーモン・オリヴィエの『コクトーの食卓』はパリに今もある名店「ル・グラン・ヴェフール」の昔のシェフのレシピだが、これは全く参考にならなかった。ジャン・コクトーの挿絵と共に美しい文庫だけれど。ここは昔、ギィ・マルタンが3つ星を取ったばかりの頃にジャン・ドゥーシェに連れて行ってもらった。

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