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2026年6月 5日 (金)

金子修介『無能助監督日記』を読む

金子修介監督はデビュー作の『宇能鴻一郎の 濡れて打つ』(1984)を公開時に見てから何本かは見ている。10年ほど前に一度だけ本人とほんのちょっと会ったが、イメージ通りの優しそうな方だった。さて、今回彼の『無能助監督日記』を読んだのは、どこかネットでこの本をほめていた文章があったから。

これが1978年に大学を卒業して日活に入って助監督となり、84年に初監督作品を作るまでの6年間の助監督生活を、当時の日記をもとに再現したもので、何とも微笑ましいというか、日活ロマンポルノの製作現場はこうだったのかと手に取るようにわかる。

読み終えて正直な感想は「うらやましい」。私は学生時代の時になぜか映画にはまり、仕事にしたいと思った。日活はロマンポルノが話題で、神代辰巳や田中登のような監督がかなり前衛的な映画を作っていたし、根岸吉太郎や森田芳光のような若手も活躍していた。

とにかく当時は助監督採用をしているのが日活だけで、東宝や松竹にいくと「事務員になる」という話だった。しかし私が病気と留学で大学を2年遅れて卒業する頃には日活の助監督採用は終わっていた。そこで私は「シネセゾン」に入って外国映画を配給しようと西武百貨店を受けて採用されたが、結局行かなかった。

私よりわずか6歳上のこの著者が東京学芸大学を卒業した時は、まだロマンポルノは健在だった。2次の面接で自分が作った8㎜映画を上映しようと映写機を持ち込むが、会場は明るくスクリーンもないので映画の筋を説明したという。すると採用通知が出たが、単位が足らずに経済学の先生に頼みに行って卒業。

中学生の弟は「お前の兄ちゃん、ポルノかよ」と言われると嫌がった。小学校の同級生の野田秀樹に電話したら、「「オマエ、日活受かって偉そうだぞ」と言われた低い声の響きを覚えている」。演劇好きにはすでに野田の名前は広まっていたという。

そして入社3日目に4期上、27歳の新人監督、根岸吉太郎のサード助監督に編入されて台本をもらう。『オリオンの殺意より 情事の方程式』のチーフが上垣保朗、セカンドが那須博之、カメラは森勝、プロデューサーは岡田裕という、今見たら実に豪華な陣容。

その次が田中登の『人妻集団暴行致死事件』のサードだから本当にうらやましい。出演は村田日出男、古尾谷雅人に黒沢のり子。「現在はタイトルも内容的にも通常の上映をするのは問題」らしい。

次は一般映画で日大生で2つ下の石井聰互が沢田幸弘と共同監督をする『高校大パニック』。石井とはその後も友達付き合いを続け、彼の結婚披露パーティーにも駆け付けた。私は今になって「こんな20代を送りたかったなあ」と思う。

 

 

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