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2026年7月 9日 (木)

「ロン・ミュエク」展は今年一番の展覧会かも

森美術館で9月23日まで開催の「ロン・ミュエク」展を見た。4月末に始まってすぐに見たいと思ったが、65歳以上は300円安くなると知って待つことにした。

おまけに平日だと安くなり、オンラインでチケットを事前購入していたらさらに安くなる。結局、2500円が1800円になったので嬉しくなった。そしてその中身がすばらしかった。たぶん今年一番の展覧会ではないか。

最近の現代美術はぱっと見て「すごい」と思えるものが少ない。ビジュアル的に圧倒的な印象を与える、つまり作品を見るとある独自の世界が有無を言わさず伝わってくるような作家は多くはない。ましてや、現代美術に通じていない一般の観客に対してもそのショックを与えられる作家は非常に少ないと思う。

例えばオラファー・エリアソンやクリスチャン・ボルタンスキーは現代美術好きには本当に素晴らしいが、いわゆる印象派などが好きな美術ファンには「よくわからない」「こわい」といった印象を与えるかもしれない。

しかし塩田千春の立体作品はかなりの観客に訴えるのではないか。黒や赤の糸の織りなす美しさの影から、人間の生き方や記憶や歴史が顔を出す。それがスーツケースや扉や舟といった形を取るからわかりやすい。

ロン・ミュエクの立体も誰が見てもおもしろいのではないか。まず、人間そっくりの像に驚く。腕のピンクの部分や青い筋まで実にリアルに再現された人造人間だ。ところが、その大きさはさまざまで人間より少し大きかったり、小さかったり。あるいは巨大だったり。

2つ目の部屋で《イン・ベッド》』が出てきた時には驚いた。たぶん普通の3倍くらいの女性がベッドに横たわって右手と顔を見せている。ベッドの縦幅は7メートル近い。その大きな顔にもかかわらず、表情は実に不安そうで普通と変わらない。大きいから驚くのではない。そこに明らかに何か魔術的な引力があって、誰もが見続ける。

そして《マスクⅡ》もまた巨大な頭だ。今度は寝ている男性の頭だけだが、4、5倍の大きさ。中年の男性が疲れた感じで寝ているが、何だか自分が寝ている姿にも見えてくる。これは作家自身の姿だと書いてあって、なるほどと思う。

最後に《マス》が来る。大きな部屋いっぱいに巨大な骸骨が積み重なっているが、百個ほどあるという。茫然として眺め続けるしかない。

 

 

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