『実録!東映三角マーク宣伝部』を読む
最近、私より少し年上の映画関係者の自伝やインタビューをよく読む。金子修介『無能助監督日記』は、現在も活躍する監督が学生から日活に入社して監督になるまでを振り返ったもので、なかなか楽しそうで羨ましくなった。金子さんは71歳。
『映画監督 崔洋一 映画は闘争だ!』は崔洋一監督に樋口尚文さんが4年前に73歳で亡くなる半年前にロング・インタビューしたもので、これは生まれてから監督人生すべてを振り返るもの。在日で生まれた監督の壮絶な人生に圧倒された。
さて『実録!東映三角マーク宣伝部』は、東映の宣伝部長だった福永邦昭さんにかつてアシスタントを務めた尾形敏朗さんがインタビューをしてまとめたもの。福永さんは現在86歳で元気だし、尾形さんは71歳。
まずこの2人の出会いがおもしろい。尾形さんは大学3年生の時、1978年1月に東映宣伝部でバイトをしないかという電話を受けた。福永氏を紹介されてすぐ採用が決まって働き始める。『宇宙からのメッセージ』の宣伝の時だったので、当時の名刺(これが掲載されている)には宣伝部<宇宙局>と書かれている。
なぜ学生バイトを欲しいと思ったかと言えば、「今どきの大学生は何を考えているか、そんな興味本位+猫の手も借りたい、両方だと思うのね」。もちろんこの本は尾形さんのバイト以前、1963年春に東映に入社してから始まる。1966年以降は宣伝部一筋で、2003年に63歳で東映ビデオを定年退職し、千葉真一の企画に乗って大赤字を背負うまでが描かれている。
つまり、「監督」のような存在ではなく、あくまで映画会社に入社した会社員の人生だ。しかしながら映画の黄金時代の終わりからどんどん衰退期に入り、それでも何とか生き延びる映画業界人の姿は読んでいて楽しい。誰でも題名を知っている有名な映画をどのように宣伝して当たったとか当たらなかったという話が実に具体的に出てくる。
実を言うと、私はこの本に出てくる映画をあまり見ていないことも気になった。70年代の中学生の時から映画はたくさん見ているがアメリカの大作が中心だし、大学生になってからははタルコフスキーとかタヴィアーニ兄弟とかフランス映画社が配給するアート系が好きだった。この本のおもしろさについては後日書くが(たぶん)、自分がいかに「東映」という会社から遠かったかを改めて感じた。
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