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2026年8月 1日 (土)

うんざりしながら読む新書:その(1)

前にも書いたように新書は本当にいろいろで、目が覚めるような画期的な本もあるが、本当に中身のないものもある。最近読んだ加藤喜之『福音派ー終末論に引き裂かれるアメリカ社会』はそのどちらでもなく、十分に読み応えはあるが途中でうんざりする本だった。

この本は去年の9月に出て、私の持っているのが11月で5刷。私が書いた『ヌーヴェル・ヴァーグ』の方がよほどメジャーな気はするが、やはりこちらは今のトランプ率いるアメリカの実態を知るために不可欠な感じがするから売れるのだろう。「キリスト教書店大賞」も取っているし。

なぜトランプがアメリカで支持されるのか、という大きな理由の一つに「福音派が支えているから」というのは第一期のトランプ時代からよく言われてきた。この本によれば、これはキリスト教プロテスタント派の原理主義で、かつては「ディスペンセーション主義」と呼び、1948年のイスラエルの建国を旧約聖書の実現と位置付けたという。

1942年に「全国福音派教会」National Association of Evangelicas (NEA)ができて、これが「福音派」という言葉の由来となる。そしてダン・グラハムが共産主義を敵と見なすことで、福音派が躍進するきっかけを作った。彼は米国民の教会への帰属を戦後の40%から1969年には69%にまで引き上げる。

グラハムはアイゼンハワー以降は大統領選を左右するようになる。「グラハムの活動は福音派独自の運動というよりも、共産主義の脅威に対する汎プロテスタント的な市民宗教の一部として理解すべきだろう」。グラハムはキング牧師の公民権運動にも懐疑的で、ベトナム戦争を支持した。しかし、支持したニクソンの敗北と共に退いてゆく。

そこに現れたのがジミー・カーターで福音派に支持されて1976年に大統領となった。しかし進歩的なカーターは福音派や原理主義者を失望させてゆく。一方で1970年代にはハル・リンゼイの終末論が大流行した。

実はここまでが序章と第一章で、第二章からはレーガン、クリントン、ブッシュ、オバマといった共和党と民主党の両方の歴代大統領がいかに福音派を取り込んで政権を取ったかが書かれる。読んでいて、ほんとうにうんざりする。

「過去の白人キリスト教ナショナリズムは、支配的多数者としての自信に基づき、少数者を差別する形態を取っていた。対して、今日のそれは、社会的影響力の喪失への危機感と、既得権益を奪われつつあるという被害者意識に基づいている」

これがトランプが大統領に選ばれる理由だろうが、それにしても「福音派」がなぜ今も力を持つのかはわからなかった。

 

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コメント

朝日新書の「戦争を甘くみる空気」を読みました。
この先、どうなるのか、暗澹たる気持ちになりました。
戦争が酷くいけないことと、誰でもわかってると思うのですが。

投稿: jun | 2026年8月 6日 (木) 20時52分

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