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2026年9月13日 (日)

1年ぶりの海外で考えたこと:その(2)

今から30年ほど前、蓮實重彦さんとパリで会った時に彼は言った。「夏を1ヵ月パリで過ごすと、その前のひと月と帰国後のひと月、ほぼ3ヵ月が仕事になりませんね」。当時の私はその意味がわからなかった。

その頃は年に3、4回海外出張をしていたが、出張が決まるのは2週間くらい前ですぐに旅行代理店に連絡して便を押さえてもらい、実際の準備はだいたい2、3日だった。仕事に必要な書類や資料を揃えたら、後はパスポートとクレジットカードを確認して出かけた。

ところが最近はずいぶん前から準備をしている。3か月以上前から行く国の旅行ガイドや本を買い、映画まで見た。ポルトガルのガイドは少ないが4冊に目を通した。もちろんフェルナンド・ペソアの『ペソアと歩くリスボン』はガイドを見ながらじっくり読んだし、詩集は何度も読んで持ってゆくことにした。

そして改めて見た映画はマノエル・デ・オリヴェイラの『アニキ・ボボ』と『アブラハム渓谷』に『絶望の日』、ヴィム・ヴェンダースの『ことの次第』と『リスボン物語』、アラン・タネールの『白い町で』、ペドロ・コスタの『血』、ロバート・クレーマーの『ドクス・キングダム』などなど。

さらにひと月前からは、持っていくものを選び始めた。歯磨きやヘアクリームなどは重くないように10日分ほど残したものを用意した。1週間前には持っていく下着や服を選んで一カ所にまとめた。スーツケースはいいが、機内持ち込みのバッグの選択は難しい。旅行中の昼間も持ち歩けるものにしたい。

結局、皮のリュックを選び、別にポシェットを持っていくことにした。これは機内だけで使うもので肩からかけてパスポートと財布に歯ブラシや歯磨きと文庫本1冊を入れる。私は食後に歯を磨かないと落ち着かないので、これをぶらさげてトイレに行く。離着陸の時はそれを頭上の荷物棚に入れられないように、背中の後ろに隠した。

靴は何を持ってゆくか悩んだが、散策用のサンダルを2つとレストラン用の革靴にした。今年の欧州は暑いので半ズボンも持参したが、これは結果として実に役にたった。そんなこんなで、行く1ヵ月前から執筆中の本が全く手につかなかった次第。

 

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